MTFトランスジェンダーの話


MTFと言うのはmale to femaleの略で,m2fと約す事もありますが,日本ではあまり一般的ではありません。でも私はアドレスとかIdでm2fを使っているから知っている人から見れば,バレバレでした。


TGトランスジェンダーと言うのは色々の意味に使われますが,最も広い意味では性同一性障害gender identity disorderとほぼ同じ意味でした。少し話を前に戻すと,異性装transvestite(TV)と呼ばれる人がいて,一方の極に性転換症transsexualism(TS)がいます。TSは何がなんでも女性を目指す人で,ホルモン投与に性転換手術(SRS)を希望します。TVは多様な集団ですが,かなりは異性愛でフェティシズムからする人と,両性の役割を経験したい為に行なう人がいるようです。TGは最初は手術までは望まないTSを表わす概念でしたが,今はTV,TS,狭い意味のTGを総て含んだ概念として使われています。

私は当然TVから入った訳ですけど,女装で外出して,買い物とか女性としての役割をしているのが好きになりました。多くのTVの人は,一時的な女装に満足してあまり外出しなかったり,逆に凝った服装や写真に興味の中心がある人もいました。私も凝った服装は嫌いではないけど,より普通の女性が着ているような格好や靴などに興味がありました。だからだんだん,純粋はTVの枠には入らないのに気づきました。

本当は私も手術を受けたいなと思いますが,仕事や家族の事を考えると,とても今は踏み切れません。でも女性の身体が欲しいという気持ちはとても深刻でした。結局,この引き裂かれた気持ちを埋めるべく,私は2000年6月から女性ホルモンの内服を始めました。これは決して薦められる事ではありませんが,それなりに乳房が膨らんで,楽しい経験をさせて貰いました。ただ,現時点でこれ以上大きくなるように,ホルモン量を調節するか,もうここいらで,諦めるべく,減らすかはずっと,迷っています。


The Harry Benjamin International Gender Dysphoria Association's

Standards of Care for Gender Identitiy Disorders, 6th Version, 2/2001

http://www.hbigda.org/socv6.html

Stanndard of Care(SOC)が第6版になりました。前回のと何処が変わってどういう意味があるかを見るのはなかなか大変ですがアン・ローレンス博士が12のポイントを上げてやさしく解説しています。これをみると日本の状況から見てとても羨ましいです。一応その一部を強引に翻訳して紹介します。
The HBIGDA Standards of Care, Version Six: What's New?
A Look at Twelve Significant Changes  By Anne A. Lawrence, M.D.
http://www.annelawrence.com/socv6review.html
1. 胸部の手術(MTFの豊胸術、FTMの乳房切断術)には精神科からの1通に推薦状でよくなり、ホルモン療法と同じ扱いとなる。
2. ホルモン治療はreal life experienceやSRSを望まない患者にもGID症状の緩和の為に投与できる。(精神科の診療後)。
3. ホルモン療法は時には精神療法やreal life experienceなしに、被害を少なくする目的で与えられる事がある。(非合法でホルモン治療に走りそうな患者の場合など)
4. 思春期患者は思春期を遅らせるホルモン治療を11歳か12歳の早さから受けられる。(時期は思春期が始まるや否やと書かれていて、女児では11歳、男児では12歳がその時期らしいです。)
5. 思春期患者は16歳から男性化や女性化を起こすホルモン治療を受けられる。 6. SRSは明らかに医学的必要性で、実験的、選択的、美容的治療ではないとされた。
7. 牢屋に入れられた患者の継続治療が強く推薦され、医学的必要性と認めた。
8. 生殖医療に関するオプションの詳細な討論が加わり、ホルモン治療前に患者に情報を知らせる事になった。
9. トランスの過程での社会的リスクがホルモン治療よりreal life experienceに関係していてことが適切に述べられた。(前の版ではホルモン治療で起こる身体変化が社会的影響多いとされたが、実際はreal life experienceの方がずっと影響大きかった。)
10. ホルモン療法の危険性を強調する文章が改められて、よりバランスのとれた表現になった。
11. Triadic therapy(3者療法:real life experienceとホルモン療法と手術のこと)の要素がよりはっきりと説明される一方、real life experienceの重要性は少し引き下げられた。(以前は治療は常にreal life experience>ホルモン療法>手術だったけど、今はホルモン>real life experience>手術とか、3者のうちの一部しか受けない選択、FTMの場合などは、ホルモン>乳房切断術>real life experienceなども受けられるようになった。)【おそらく、何の医学的手段なしにreal life experienceを行う無謀さが理解されたことで、この様な形になったと思う。訳者の個人的感想】
12. Referenceガイドは廃止され、用語、語句の修正が行われ、読みやすく、専門的になった。
完全な訳ではないので、なるべく原文に当たって下さい。意味はそんなに間違えてないと思います。


見出しはMTFでしたけど,FTMの為のホルモン療法のテキストを他の掲示板の為に翻訳したので,ここにも掲載します。

日本語に翻訳されているFTMの為のホルモン治療のテキストが少ないので翻訳の相手を探しました。あまりに長いと大変なので取り敢えず,1992年の文献ですから,少し古いのですけど,比較的コンパクトにまとまっているから,ざっと翻訳します。
オリジナルの文献ではMTF,FTM両方が書いてあるけど,日本語に翻訳されているFTMのホルモン療法のテキストが少ないから,FTMに関係する所とイントロダクションなどを翻訳していきます。
著作権はオリジナルの作者にあって,特に交渉とかしていませんし逐語訳ではありません。私の翻訳者の権利は放棄しますから,ご自身の責任でどちらに持っていかれても結構です。


Hormone Treatment in Transsexuals
TSにおけるホルモン治療
Henk Asscheman, MD and Louis J.G. Gooren, MD
Free University Hospital, Amsterdam.オランダ
http://www.geocities.com/WestHollywood/Village/5046/hrt.htm


INTRODUCTION

性染色体と性腺を除き,ほとんどの身体の男女の差は性ホルモンの作用で説明されるでしょう。
胎生期の人の臓器はおおむね女性側に沿って発達する傾向があるけど,胎生期の男性への分化は精巣からのホルモン(Mullerian-inhibiting ホルモンとテストステロンとその誘導体)に依存しています。女子で骨盤が男子に比べ広い事は,胎生期の卵巣からのエストロゲンの産生による局所効果と思われます。46,XYと46,XXの遺伝的違いから性ホルモンの生物学的作用に根本的差がある事は知られていません。(確か、最近男女でやはりそれぞれの性ホルモンの感受性に差があるというデータを出していた気がします。訳注)

(中略)

性再判定治療の基礎はできる限り,異性の性徴を獲得することです。外性器,内性器を除いて,性徴は各々の性ホルモンの作用に依存しています。従って合成および半合成の性ホルモンが性再判定治療に不可欠の道具なのです。異性のホルモン治療を用いる事で,治療の予後が良くなる事も報告されています。

2年間のreal life test(Moneyら1978)はGID治療における画期的な診断・治療アプローチでした。

(中略)

これにホルモン治療を加えることでより良く,個人生活,社会生活で異性での役割に適応できるか判定できます。


生物学的に正常な成人男性や女性のTSに異性の性徴を誘導する試みは2段階に分かれます。

 1. 元の性の性徴を消失させる事。
 2. 望む性の性徴を導入すること。

1. 残念ながら,元の性の性徴を消失させる事は不完全にしか出来ません。MTFTSの場合なら,骨格に与えてしまったアンドロゲンの効果を逆転させる治療はありません。高い身長、顎の形、手足の形,骨盤の狭さなどは,思春期が終了して最終的なサイズに達した後は変更できません。同様にFTMTSの場合,比較的低い身長,広いヒップの形などはホルモンの影響で変わらないのです。

2. FTMTSの大部分で,男性ホルモンの投与で完全もしくはほとんど分からない程度に男性化した外観を得られます。しかし,MTFに対する女性ホルモンの効果はそれに比べると不満足なものです。その事は男性型の髭の減少とか乳房の発達でもそうです。

TSはしばしば,ホルモン療法の開始すぐからの急速で完全な変化を要求しがちです。しかし異性のホルモンの効果は限界があるし,徐々にしか来ないものです。ホルモン治療の前に可能な変化と限界についてきちんと話をする事で,非現実的な期待を防げるでしょう。


どのホルモンでどの投与量?

たくさんの種類の合成,半合成性ホルモン剤があります。確実な文献データである性ホルモンが他に優れていると言うデータはありません。2つの文献が種々の投与スケジュールの適応を見ているけど,結論は到底決定的なものでありません。 ホルモンの選択は,利用しやすさ,地方の伝統,副作用,投与法,費用,患者や医師の思いこみ等で決まっています。これらの薬の最適投与量も決定されたと言えません。

異性の性ホルモン投与で最初に得られる効果は,6−8週で現われるでしょう。最初の症状はFTMの声の変化と,MTFの痛みを伴う乳房のしこりの発達でしょう。その後,変化は6から24ヶ月かそれ以上かかって完成となるでしょう。(アンドロゲンで治療したFTMの場合,髭の発達は4-5年かかる事もあるようです。)

(中略 MTF治療)


FTMの異性ホルモン治療

女性の性徴の消失

身体特徴に対するエストロゲンの効果を,抗ホルモン剤で消失させる事はできません。正常性器の女性に抗エストロゲン製剤を投与すると,性腺刺激ホルモンが刺激され結局卵巣でのホルモン分泌が増えてしまいます。 理論的にはLHRHアナログあるいはアンタゴニストが使えます。(LHRHは視床下部から出るホルモンで性腺刺激ホルモンのLH、FSHの分泌を促す。この阻害薬(アンタゴニスト)を用いれば性腺機能を抑制できる。おかしな事にこの類事物(アナログ)を使うと,一過性にLH、FSHの分泌が促進されるが、連用によって,下向き調節が働き結果として性腺機能が抑制される。日本ではアナログしか入っていない。訳注)。しかし、この製品は非常に高価で,閉経のような症状が出て、TS治療での経験不足から薦められない。

TSは生理を止める事をかなり希望すれけれども,それは抗性腺刺激ホルモン作用のあるプロゲステロン製剤で達成できる。medroxyprogesterone acetate (Provera)メドロキシプロゲステロン(プロベラ)5mgを1−2錠/日か150mg筋注/3ヶ月,lynesterol (Orgametrji) 5 mg(日本に無さそう)かnorethisterone (Primolut N)ノルエチステロン(プリモルト)5mgを1-2錠/日など。次の節で議論するアンドロゲンも高用量では抗ゴナドトロピン作用があります。それでアンドロゲンとプロゲステロンの両方を併用する明らかな利点はないけど,アンドロゲン単独で治療した場合生理の出血の抑制は不完全です。

男性の性徴の誘導

アンドロゲンは男性化の過程に強力な効果をもたらしますが,完成に至るのは24ヶ月か時にはそれ以上かかります。個々の人の結果は遺伝的要素(すなわち家族的あるいは人種的な要素)によります。兄弟の毛深さの程度は男性化の過程での比較的良い予測因子でしょう。

使われるのはtestosterone esters 200-250 mg/2 週(日本のエナント酸テストステロン(テストビロン)訳注)筋注です。商品名は各地で異なります。(日本ではエナルモンデポー,テストビロンデポー,テスチノンデポー,テストロンSデポーなど。訳注)。経口のアンドロゲン製剤のtestosterone undecanoate(Andriol) 160-240 mg/dayは米国で利用できないけど(日本にも多分無い。訳注。),可能なオプションではある。しかし後者の場合,生理の出血は50%の患者でしか抑制されず,プロゲステロン製剤の追加がその抑制の為に必要である。17αの分子の位置にアルキル基のついた経口アンドロゲン製剤の使用は肝毒性の為に時代遅れとなった。Mesterolone(日本に無いみたい) と fluoxymesterone(フルオキシメステロン(ハロテスチン))の様な経口アンドロゲン製剤は男性化を誘導するには弱すぎると思われる。

約50-60%のFTMににきびが起こるでしょう。その10-15%はかなり重症で皮膚科での治療が必要かもしれない。脂質代謝には、アンドロゲン治療が悪影響を与えるのが今では明らかになっています。そのことはFTMTSを男性と同じ危険因子を持つと考えさせています。それ故、禁煙、適度の運動,適正体重を保ち,高血圧を防ぐなどが推奨されます。

中略(MTFのホルモン効果)


FTMの異性ホルモンによる効果

一般的に男性化の過程は主観的にも客観的にも満足の行くように進み,多くのFTMはそれに満足する。乳房の大きさには影響しない。油性の皮膚とにきびは問題になるかもしれない。他の男性に比べて,身長は幾分低いけれど,背の低い男性は背の高い女性ほど目立たない。全ての人でクリトリスの大きさが大きくなるが,程度はいろいろである。時に女性パートナーとの性交が可能なほどになる事もあるけど、例外的である。アンドロゲン治療後性欲の亢進に気づくのが大多数である。MTFと同様,FTMの場合も卵巣摘出後,ホットフラッシュ(更年期の症状),男性の性徴の維持,骨粗しょう症を予防する為に、アンドロゲン治療を続けなければならない。


異性ホルモン治療の副作用

TSの異性ホルモン治療の副作用に関する,きちんとしたデータはあまり発表されていない。Meyer(1986)は90人のTSを調べて肝酵素異常と軽いコレステロールと中性脂肪の増加しか見つけなかった。症例報告では,肺塞栓,脳血栓、心筋梗塞,前立腺異形成や,エストロゲン治療中のMTFの乳癌,アンドロゲン治療中のFTMの繰り返した心筋梗塞があった。
1989年に我々はクリニックでフォローしている303人のMTFと122人のFTMの過去歴を研究し発表した。(6ヶ月から13年以上見ていた患者である。)MTFの患者の死亡率は一般大衆と比べて6倍増加していた。この事は特に,自殺と,原因不明の死亡によるところが大きかった。FTMのグループでは死亡例が無かったが、観察期間は短かった。副作用はMTFで多かった。静脈血栓、肺塞栓,鬱病の気分変化,高プロラクチン血症、肝酵素の上昇がMTFで優位に上昇していた。FTMではにきび(12.3%)と10%以上の体重増加(17.2%)が主な副作用であった。多くの副作用は適切な治療かホルモンの一時的中断で回復可能であった。
しかし,重篤な副作用の発現(例えば40歳以下の患者で血栓塞栓病の頻度は2.1%,40歳以上では12%)は稀とは言えなかった。TSの必要性を考えると,ホルモン的な性再判定において,副作用の問題は難しいジレンマであった。現時点で,明らかなガイドラインはない。ホルモンを処方するかの決定の要は患者にありうる副作用について説明すると伴に注意深い臨床的判断にあるでしょう。

血栓塞栓病の危険をエストロゲンの経皮投与製剤(パッチ製剤)で減らす努力はとても期待できるけど,現時点で結論は出ていない。この新しい製剤の長期間の副作用を明らかにするのに、更なるフォローが必要である。


結論(今までの繰り返し多いので省略)


実はFTMの為のホルモン療法のより完全なテキストもウェブにあってそれは下記です。有名なMTF版のFAQ(日本語訳もある)のFTM版になっています。もし上の翻訳で判らない事とか更に知りたいことがあったら,こちらを見ると分かるかもしれない。この翻訳はあまりに長くてする元気無かった。

FAQ: Hormone Therapy for F2M Transsexuals
http://savina.com/confluence/hormone/f2m/flat.htm  


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